短頭種とは、パグやフレンチブルドッグ、シー・ズーなどのいわゆる「鼻ペチャ」な子たちのことです🐶
元気いっぱいで愛嬌たっぷりの彼らですが、ガーガーと苦しそうに呼吸をしていることが多いですよね😥
それには短頭種気道症候群が関係しています👀
今回は短頭種気道症候群の治療のために外鼻孔(=鼻の穴)の拡張術を行いましたので、ご紹介したいと思います🍀

短頭種気道症候群とは
短頭種は生まれつき外鼻孔が狭く、息を吸いづらい子が多いです。
一生懸命に鼻で息を吸うので、喉や気管に大きな負担がかかり、粘膜が腫れてさらに呼吸がしにくくなります。
併せて軟口蓋過長症といって、喉の奥の天井部分にある組織が生まれつき長い状態である子が多いです。
すると、
【外鼻孔(=空気の入り口)が狭い+軟口蓋が物理的に気道を塞いでいる】
状態になり、気道を主として呼吸器系全般に大きな負担がかかります。
進行すると、喉頭虚脱や気管虚脱、喉頭小嚢反転などの変化を引き起こし、重度の場合、呼吸困難やチアノーゼなどの病態を引き起こすこともあります。
これら一連の呼吸器疾患を短頭種気道症候群と呼びます。

短頭種では軟口蓋が長く、呼吸をする度に気管の入り口が塞がりやすくなります。
短頭種気道症候群の症状
ガーガーという特徴的な呼吸音はストライダー音と呼ばれ、短頭種気道症候群の代表的な症状です。
それ以外にも、
■重度のいびき
■軽い運動や興奮で呼吸困難になる
■すぐにチアノーゼを起こす(酸素が足りない。舌や歯茎が紫色になる)
などが症状としてあげられます。
また呼吸しづらいことにより熱発散もうまくいかないため、熱中症のリスクが非常に高いことも特徴です。
特に夏の時期は、空調の温度や保冷剤の活用などで対策してあげることが大切です⚠️
短頭種気道症候群の治療について
症状が軽度であれば、体重管理・体温管理・投薬(消炎剤や気管支拡張剤)によるコントールで症状の緩和及び維持が見込める場合もあります。
しかしこれらの方法には限界があり、将来的に悪化する可能性が高いです💦
そのため、若いうちに外科的な介入を行うことが推奨されます🔍
今回の症例
患者さんは7歳パグの女の子です🐶
以前からガーガーと呼吸が苦しそうだという相談があり、診察すると外鼻孔が非常に狭く、症状から軟口蓋過長を疑う状態でした。
外鼻孔狭窄と軟口蓋過長の両方の病態が認められる場合には、外鼻孔拡張術と軟口蓋切除術の両方を併せて実施することが多いですが、飼い主さんと相談し今回は外鼻孔拡張術をまずは施術し、呼吸苦の改善を図ることになりました🐾

術前はこのように鼻の穴がとても狭く、息がしづらい状態でした。
手術では、鼻翼と呼ばれる部分を楔状(円錐型)に切り取り、鼻の穴を広くします。

そしてこちらが術後の写真です!
鼻の穴が綺麗に広がり、とても息がしやすそうになっていますね👀

並べてみると、一目瞭然です✨

術後は麻酔からの覚醒も問題なく進み、当日に退院となりました🍀
また、1週間後に経過の診察を行ったところ、鼻の状態はとても良好でした!
そして自宅での呼吸状態も改善したとのことでした😊
息がしやすくなって、パグちゃんにとってもQOL(生活の質)が上昇し、とてもよかったと思います🙌
まとめ
今回は短頭種気道症候群、そして外鼻孔拡張術についてお話させていただきました🐾
息のしづらさや呼吸苦はわんちゃんにとって大きなストレスとなるだけでなく、
徐々に悪化していくケースが非常に多いです。
外鼻孔狭窄及び軟口蓋過長症は、短頭種の子達を家族にお迎えしている飼い主さんにとって非常に心配な病態を呈する原因としてよく遭遇します。 また、軟口蓋過長症に対する手術は、お年を重ねるにつれて複雑になる場合があるので、短頭種気道症候群にお悩みの方や、「うちの子もしかしたらそうかも!?」などなど気になることがありましたらお気軽にご相談ください🍀
